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がらすの花瓶

2025/08/12

児玉すだま

夜めかないで 夜嵐はひややかに詰めよるけれど よろめかないで

雲という巨きな指がことごとく首輪をはずす 風は猟犬

桟橋をつながれたままゆり動くすわんぼーとのしろい脊椎

雨すべてはだかの胸で抱きしめて重くしなったはるにれの木よ

うらないを知らない獣にやさしさはない花という花持ちさって

みずうみはがらすの花瓶 なだれ込む花びらなべて留めたままで

速回しがおるごーるをきしませて時間は夜を越えてしまえよ

雨は水のひとつのかたち みずうみが水を沈めて静まりかえる

安眠のための体位を 雲は手をやすらげるよう組みかえていく

雲間より降りくるひかりやわらかく天蓋めいておやすみなさい