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牢屋のおやつ3 ぱちぱち夏の保釈編

2024/06/20

瘡蓋

猛暑日の墓地にひとつも影がなく、こうしてあなたには皮膚がない

汗をかくのはみんないきものじゅくじゅくと水がしみだす手桶を下げて

敷石にワセリンを塗りたくるひとを産んだひとの墓に参っている

掻きこわれはじめた食卓のきゅうりは執拗に皮を剥かれてならぶ 

雑草がじいじい揺らぐ 線香の煙を吸うと歯が痒くなる

遺伝だと言おうとしたらいっせいに首を振りだしはじめる柄杓

菜箸を逆さに詰めた花立がひまわりの真中に似ています

ゆるせないのにする念話ことごとく湿潤液の匂いにまみれ

わるいわるい肌を真夏を臍の緒を和室をふたりでかきむしるだけ

かゆくないところへゆきたいです   振り向けば  墓石にあたらしい瘡蓋

couvade

うでの毛をひかりがしろくみせている死んでようやくかみさまになる

ありふれたショートケーキの戴冠として息をとめ苺をのせる

couvade 夏には夏の恋人がほしいできればつめたい肌の

ウエディングベールを奪い去るようにとうもろこしの皮をむきます。

まどろみを火に破られてにんしんのようにふくらむ線香花火

ひからびたみみずを避ける 胎盤は真夏のようにわたしの牢屋

祝杯を かみさまだったいきものの水晶体の浮かんだゼリー

かみなりのかけらは不妊にいいからと義母がキャベツと炒めている

人間と人魚の生殖方法をあなたは知ってしまうかな 虹

触れあえばぬるくなるのがいやだったバニラビーンズみたいなほくろ

なみやすみの宿題

ゼラチンがどれだけあれば海ゼリー作って向こう岸に歩ける?

海ゼリーのなかのマンゴーもうだれのことも島だとおもわないから

特売のチラシはちゃんと届けます色鉛筆のいかだに乗って

ぱさぱさの肌のくじらとすれ違う幻視 冷凍庫はからにする

からっぽなたびに額を押し付けて みるの 大雨の日の校庭

理科室のちいさいこまごめピペットのめもりとめめんともりをまなんだ

お〜も〜い〜だ〜し〜は〜じ〜め〜て〜る〜と〜こ〜なみなみと作文用紙を埋める作戦

氷よく噛んでください噛みながら落雷として泣いてください

赤色のシロップまいたげたの海に、こぼれることもしらない海に

わすれてもわすれなくてもいいからね海のたまごの自由研究