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牢屋のおやつ1 ぴかぴか脱獄決意編

2024/06/20

江戸っ子マジシャン

呼んだから咲いてしまった心持ち江戸っ子マジシャンガールの起床

東京に生まれてみせた手妻師の時代交換トリックとして

お歯黒の可能性ごとぬぐいとるリップティントをそうっとためす

プロフには(05line)おそろいで受けたお縄の種類を載せた

湯豆腐のやわらかいほどこわいのは釜茹で世代の母の影響

皿のある時代に生きて皿洗う運命だった江戸のわたしも

ゆらめいてくれない蛍光灯からは未読の数も見破られそう

見せかけの郷愁 けれど行燈はとおくとおくで灯った、かつて

人生に種も仕掛けも欲しかったシルクハットを通販で買う

紙ふぶき呼び出すように開ける窓 ひかりの牢屋としての生きかた

残り火

呼んだから咲いてしまった心持ち 花弁はあなたのためにではなく

なるものじゃなく患者にはされるもの おくすり手帳の幼児向けの絵

もうなやむことはないのよ残り火が僕なら煤けた竈のあなた

駅前の排除ベンチに座りこむ死んだら楽なこともいくつか

通常は鶏卵くらいの大きさの子宮は互いにただあるだけの

火のような涙が服に染みるまま鎮火のように抱きしめている

秋の陽のなかを歩いた生理用ナプキンを黒い袋に詰めて

火葬した骨には色がつくように僕に抱きしめられてあなたは

脱獄ができない日々の手ざわりを示さず光熱費の請求書

花弁ごと燃え尽きるまであなたとのひかりの牢屋としての生きかた

祭日

掛け布団カバーとともにからだから中身はずれて動けない朝

叱られることだってする叱ってよ一日切れの牛乳を飲む

誕生日、という気がした快速の中で誰かを祝いたかった

ひそやかなイチョウ並木で落ち葉ならふんでもへいきだよスニーカー

ひかりとはひかりを弱くさせるもの昼の冷蔵庫をひらきつつ

バイト後の疲れた足で一切れのチーズケーキの焼き目を買った

ろうそくを刺せばケーキは傷ついて泣きそこなった気持ちのようで

空き箱に灯った一軒家の記憶ㅤこぼれ落ちないように畳んだ

祭日じゃなくたって縫う、日々を縫う、脱ぎ散らかした服を集める

コンビニの弁当さげて目指すのはパンダのみょんみょん揺れる公園